こんな美しい夜明け
すまないような光や露

心平

 楢やうるしやほほの木やまたさまざまな雑木の夜明け。
 うす紫に空気は澱み。光の縞はけぷっている。
 霜柱をふみ。
 満々ふかく空気を吸い。
 美しいだんだんの縞を破り。
 行く。
で始まる詩『空気祭』の一節。自然のなかの、いいようのない安らぎ。詩人はそんな安らぎを「すまないような」と表現する。
昭和十五年に出た詩集『絶景』に収められる