われらのすべてに
あふれこぼるるものあれ

光太郎

言葉にせよ、日々の行動にせよ、こころのなかにたくわえられ、豊かにそだち、満たされ、自ずから溢れこぼれるものこそ真実の思いを伝える。
大正三年四月に作られた詩「晩餐」の一節。愛する者と過ごす満ちちたりたひと時である。
 われら静かに手を取って/心にかぎりなき喜びを叫び/か
 つ祈る/日常の瑣事にいのちあれ/生活のくまぐまに緻密
 なる光彩あれ/われらのすべてに溢れこぽるるものあれ/
 われらつねにみちよ