孤独が何で珍らしい
光太郎
「孤独が何で珍らしい」は昭和四年十一月に作られた詩の題名。
大きなまがり角にさしかかった激動する世界の歴史のなかで、それぞれの道をゆく人間が、本質的にもっている孤独と、そういう孤独を知り尽くした人間同志だけがもつ連帯感をうたっている。
孤独の痛さに堪え切った人間同士の/黙ってさし出す丈夫
な手と手のつながりだ/孤独の鉄(かな)しきに堪えきれない泣虫同志心の/がやがや集まる烏合の勢に縁はない/孤独が何で珍らしい/寂しい信頼に千里をつなぐ人間ものの/見通しのきいた眼と眼の力/そこから来るのが尽きない何かの熱風だ
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