僕の前に道はない
僕の後ろに道は出来る
光太郎

人間の誇りは、自分の道を自分で創る者の誇りだと、思う。詩は大正三年に出た高村光太郎の最初の詩集『道程』の題名ともなった作品。初め102行の長い詩だったものが、詩集に収められる時わずか九行に凝縮された。
  道程
 僕の前に道はない/僕の後ろに道は出来る/ああ、自然よ/父よ/僕を一人立ちにさせた広大な父よ/僕から目を離さないで守る事をせよ/常に父の気魄を僕に充たせよ/この遠い道程のため/この遠い道程のため
  高村光太郎(1883〜1956)は彫刻家・詩人。『道程』『千惠子抄』などの詩集で知られる。