まことに一生は尽きると云共 希望は不尽(つきず)して 製より生を引紲(ひきつな)ぐ也
無住

著書『妻鑑」の中の言葉。人間の一生は短い。どんなに望んだとしてもそれがすぐに実現できるとは限らない。しかし次々にその願いをひきつぐことによって、夢見たものはいつかかなう,
そんな風にして人間はは空に飛び、月の世界に降り立った。思うままに生きて、犯しあわない世界、戦争のない世界が来るためにも、望むこと、夢みることをつぎつぎの世代に手わたして行かなければならない。
  
無住(1226〜1312)は鎌倉時代後期の禅僧。『沙石集』などの著書があるが、『妻鑑』は最もよくその思想をあらわす。