いったいこの世を奥の奥で統べているのは何か それが知りたい
そこで働いている一切の力一切の種子はなにか それが見たい
ゲーテ

戯曲『ファウスト』の第一部「夜」のはじめのファウストの独白のなかにある。
人間の進歩を促す一番大きなみなもとはここにあるだろう。長い遍歴のすえ、第二部の終りでファウストがたどりついたのはこんな境地だった。
 それはこうだ。/凡そ生活でも、自由でも、日々これを勝ち得て/始てこれを享有する権利を生ずる。/だからここでほ、子供も大人も年寄りも/そう云う危険に取り巻かれて、まめやかな年を送るのだ。/己はそう云う群を目の前に見て、/自由な民と共に、自由な土地に住みたい。/己は「刹那」に向って、/「止まれ、お前はいかにも美しいから」と呼びたい。